内容説明
幻の天才童謡詩人による奇跡の詩。
彗星のように現れて消えていった、天才童謡詩人、金子みすゞ。わたしたちのこころに永遠に生きつづけるその童謡詩を金子みすゞ記念館館長・矢崎節夫による鑑賞解説付き、現代仮名遣いで収録。
永遠の詩シリーズは、今日的に意義のある詩人をとりあげ、代表作を厳選しました。わかりやすい解説で、詩があなたにもっと近くなります。
目次
おさかな
八百屋の鳩
小さなうたがい
紋附き
美しい町
夜なかの町
木
おはじき
大漁
電報くばり〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あきあかね
34
眼差しの転換。詩というものは元来、普段見慣れたものを、新たな視点で捉え直すことで生まれるのだろう。とりわけ、金子みすゞの詩には、自分以外の力弱きもの、苦しい立場にあるものにそっと光を当てる、優しい眼差しが通底している。 みすゞは、夫から創作を禁じられ、悲しい離婚の末、一人娘まで夫に引き取られることになった日、毒を仰ぎ二十六年の短い一生を終えた。世界を優しく捉える心が、辛い現実に向き合わざるを得なかったことに胸が痛むが、その作品は時を超えて、多くの傷ついた人びとを癒やし、あたたかく包み込む。⇒2020/01/23
kanata
21
みすゞについては子どもの頃、詩の好きな母が聞かされ「怖い」と感じていた。彼女が元夫から娘を守るため、一目見てはっとさせられる写真を撮り自死した年齢を超えても、彼女のような優しく伸びやかな芯は、わたしには、ない。時代が違うといえばそれまでではあるけれど、それでも彼女を羨望のまなざしで見つめてしまう自分がいる。/「土」の解説に【こっつん、こっつん、/打たれる土は、/よい畑になって、よい麦生むよ。】をどう読むかとあるが、【こっつん】から土を打つ側の想像しかできない自分に失望。もっと柔軟に読めばいいんだ。2018/02/08
りえこ
19
かわいらしい詩がたくさん。若くして亡くなられたのが惜しい。2016/04/30
せんむ
19
初めてまともに読んだ。矢崎節夫さんの解説が無ければ、美しい言葉の童謡詩集としか受け止められなかった。金子みすゞさんは、舞台裏の人たちや縁の下の力持ちにも目を向けられる人だったと思う。リリー・フランキーさんの後書きエッセイもじんとくる。2014/11/29
neco
18
子どもの視点で世界を見たら、きっとこうなのだろうなぁ。瑞々しくて、優しくて、不思議を当たり前としない感覚。もったいなくて、すぐに読み終えることが出来なかった。詩は良い。短い言葉で、ありありと感覚を呼び覚ましてくれる。私は、今は「花のたましい」が好きだ。こんな風に生きてゆけたらと思う。2018/12/11